3wBEeの創設ストーリー『天地音(あまちね)が聴こえるー私と彼女の交差点ー』vol.2

人生のストーリー。私たちは物語を通じてあるがままの自分(BE)へ還る旅をしています。

とにかく働く毎日

さて初めての大阪で会社勤めを始めた私。これまでもいくつかの会社勤めを経験してきたけれど、社長も部長もマネージャーもなかなかのフレンドリー。仕事も丁寧に教えてくれます。今まで利用する立場でしかなかった世の中の仕組みを内側から知っていくのは楽しいものです。私はどんどん仕事を覚えて、面談も一人でやれるようになっていきました。仕事に社員もパートもない、という考え方の会社だったので、会議にも出るし、企画の提案もしたりして、どんどん馴染んでいきました。

ある時、すぐ上のマネージャーが退社することになりました。残るはパート同期と私の2人だけ。すぐ上はもう部長と社長です。営業社員と共になぜかパートの2人が、直属のマネージメント者もいないままに広告掲載から面談まで全てをやることになったのです。

人って普通にまあまあ真面目に、まあまあ前向きに生きていれば、自然に創意工夫をするようにできているのだろうと思います。思いつくままに新しいことを提案して実行すればもちろん手が足りなくなってきます。「増員しよう」やっと上層部がそう提言してくれました。「一次面接やってな」え?!パートの私たちがパートの面接をするというこの状況、オカシクね?、いえ、ここでは、あり、だったんです。

ところで、きません。うんと言える人材きません。募集すれどもすれども。あー、このままではヤバイです。忙しさハンパないです。募集広告の締め切りももう間近。ダメかーっと諦めかけていた時、机の上の電話が鳴りました。「はい●●でございまーす」電話をとると、「もしもし、、」と女性の声。明るく高いトーンの声の感じから、「♪───O(≧∇≦)O────♪(潜在的になんとなくキター)」と直感しました。

事務方の社員と一緒に面接したその人は、何か言葉を発するたびに目をまん丸くする可愛らしい女性でした。明るそうな性格のようだし、私はぜひ来て欲しいと思い、さっそく部長に履歴書をみせて報告しました。ところが、もっといい人くるかもしれないから、なんて調子で、ノリが悪い。ひとまず保留、と言われ履歴書はの部長の机の引き出しの中にしまわれました。私はこれまで状況から、これ以上の応募はないと踏んでいたんです。これは、困った。保留のまま日が過ぎていきました。

ある日、部長が風邪をひいて何日が休んでいた時、社長が「あの新しい人の面接どうやった?」と声をかけてきました。ここだと思った私はすぐさまこっそり履歴書をとりだして、ぜひ二次面接ぜひお願いします!と事を進めたんです。かくして、まん丸お目目の彼女が無事入社することになりました。なんとか急場は凌げそうです。

私の周りの温度高いんです。

さて、新しく入ってきてくれた救世主の彼女。思った以上に親しみやすく、すぐに打ち解けて一緒にどんどん仕事をするようになりました。会社っていう組織には、いわゆる暗黙の了解的な面があります。新人は必ず机を拭く、とか、この仕事はこの人につなぐのが今までの習いだよ、みたいなことです。私はそういうことには忠実なタイプ。とくに土地からしてよそ者です。郷に入れば郷に従え、と何の疑問も持たずに、言われたとおりにやってきていました。ところが、面白いことに彼女は自分が疑問に思うことはちゃんと訊ね、違うと思うことにはNOと言います。例え、慣習的なことも自分が違うやり方の方がいいと思えば、そうやってしまうのでした。

何事にも歯向かわず、心の中ではまあ、そんなもんさ、とこっそりシラケ気味でいる私と、何事にも熱くなり、表裏なく感情表現をする彼女。半年間、ただイイコで頑張ってきた私にとって、彼女のやり方は実に小気味よく、時に胸がすーっとすくような思いで、一緒に仕事をするのがとても楽しいものになっていきました。彼女はよく言ったものです。「私、熱いでしょう?!いつも汗かいてしまって。いや、実際私の近くは空気の温度も高いんです」。

やがて私と彼女はそれぞれに得意なことをそれぞれが受け持ち、いいと思う企画を社長に提案しては新しい仕事を創ったり、やり方を変えていきました。当然、社内では斜めに見る保守的な人も多く、同僚からは陰口をたたかれたりすることも増えていきました。気づけば私たち2人はすっかり浮いてしまっていたのです。精神的にはとてもキツイことでしたが、フレンドリーな社長だけは提案する仕事を認めてくれて、新しい仕事の試みを実践していく楽しさや達成感だけを見て、毎日をただ進んでいたような気がします。

一年が過ぎました。古い空気の全てを一新するほどの新しい風にはなり得ないままに、私も彼女も心のどこかで、もうここでの体験を終わらせたいような気持ちが起き始めていたのだと思います。内は外の現実を創ります。彼女が先に退社する言い出したのと時を同じくして、私は夫の転勤が決まり東京へ戻ることになったのです。

この1年半余りで終わりを迎えたと思った私と彼女の物語。実はここまでの体験は序盤であり、かつ、のちの私たちの礎だったのです。

つづく

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