トットちゃんとローリングストーン【Today’s BEe Life】

死ぬまで病気をしない方法

朝の連続テレビ小説や大河ドラマではよく実在の人物の一生がとりあげられます。事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、多少の脚色を大目にみても、人間の一生はどの方も見事な一大絵巻です。テレビになるのはもちろん何かで名を馳せた人ではあるのですが、きっとごく普通の人の人生だって引けはとらないと思います。昨年放映されたドラマに黒柳徹子さんの半生を描いた『トットちゃん』がありました。さすがは黒柳徹子さん、一コマ一コマが本当に魅力的なシーンばかりでしたが、なかでも印象に残ったセリフの掛け合いがあります。それはトットちゃんが大人になってからのこと。NHKの専属女優となって大活躍、あまりに忙しくなりすぎて過労で入院してしまうという場面です。ようやっと回復したトットちゃんは退院するときに先生に質問します。
「これから死ぬまで病気をしない方法を教えてください」
すると先生はこう答えるのです。
「好きなことだけをやっていきなさい」
これはもちろん実際にあったことで、黒柳さんのエッセイによると、以後60年近く先生の言葉を守り続け、好きな仕事だけをやってきたとのこと。お元気で若々しくてお美しい理由はだったのですね!『徹子の部屋』を100歳までやると決めていらっしゃるそうです。私も見続けようっと。

石の上にも三年

黒柳さん世代の日本人はこの言葉を大切にしてきた人も多いと思います。「石の上にも三年」。冷たい石の上にもじっと三年座っていれば温まるよということで、何事も我慢して結果をだしなさいという意味の諺です。確かに生きる過程では辛抱を必要とする時だってあるでしょう。でも我慢が美徳だとは思いません。もしも石の上が我慢ではなく楽しいものならば三年もたたずに温まるに違いありません。今の時代なら、最初に好きな石を選ぼうよといったところでしょうかね。好きな石を選ぶのに、好きではない石に座ってみないとわからないこともあるでしょう。またはその石が本当に座り心地が悪いのかどうかは、転がしてみたりしないとわからない、なんてこともあったりして。
石を転がすと言えば、英語の表現に「A rolling stone gathers no moss.(転がる石は苔もむさない)」という言葉があります。こちらは「転がってばかりいては何も実にならないよ」という意と、その逆で、「転がってたらいつでも新鮮でいられるよ」という意味でも使うようです。石を転がす方が俄然面白そうですよね。最初から、座り心地のいい大好きな石が見つかるまではローリングストーンを楽しむのもありだと思います。なんてロックな生き方!(シャレですよ☆)カッコいいですよね。

ローリングストーンを楽しめたら

ところで、ローリングストーンしているうちに、非常に乗り心地がよくなって、この石、実は好きだったんだ!って気づいてしまう、なんてパターンも考えられます。もしかすると黒柳徹子さんはこのローリングストーンパターンだったのではないだろうかとふと思いました。いつも新鮮で好奇心が旺盛な方ですから。余談ですが徹子さんのご本に、『徹子の部屋』に来られたゲストの方々、そのほとんどがまさか自分がこの職業に就くなんて思ってもなかったと言われる、と書いてありました。世にローリングストーンズはけっこうな割合で存在するようですね。昭和から平成、そのまた次の時代の風も吹き始めた今、「石の上にも三年」だと諭されることもなくなりつつあります。乗ってみた石を転がす、もしくは飛び石の上をぴょんぴょん飛んでいくジャンピングストーン、いずれも自由に好きなスタイルで進んでいってかまわないと思いませんか。そのプロセスを楽しめる自分で在ることが何よりも大切です。好きなことだけしていれば死ぬまで病気にならないのですから。