造り手の『BE』を感じる魅惑の品〜バッグデザイナー弓削珠緒ストーリー

2018年1月弓削珠緒アトリエツアー(東福かおるコーディネイトツアー)開催!詳細はこちら

造り手の『BE』を感じる魅惑の品〜バッグデザイナー弓削珠緒ストーリー

目が覚めるような彩りの華やかさと高級感、さらに一つ一つが他にはない個性を際立たせて輝いている!女性ならまるで恋をするように一瞬でハートがときめいてしまうバッグを見つけました。

「“幸せになれるバッグ”というコンセプトから生まれています。これ売れるかなぁと思って作るのではなく、いつもこれ可愛いなぁとワクワクしながら作ってます。その方がお客様も嬉しいでしょう?」とおっしゃるのは、TamaoYugeブランドを生み出したバッグデザイナーの弓削珠緒さんです。
ヨーロッパ各国やアメリカNYなど海外でハイブランドが使用する洋服生地やインテリアファブリック素材をふんだんに使い、ディテールにこだわりぬいたバッグの製作は弓削さんが在住する大阪 のアトリエにて一点一点すべて手作業で行われています。目の肥えた上質志向の40代・50代の女性にファンが多く、リピーターは多数。生地の良さを活かしたシンプルなデザインは、“和装洋装どちらにも合う”と着物好きの女性にも大人気です。販売は全国の百貨店で期間限定展開、今年は大阪にアトリエを併設した直営店の出店も予定しているそうです。

専業主婦からバッグデザイナーに

今回はこの魅力的なTamaoYugeブランドバッグはどのように誕生したのか、また“BEな生き方”を実践している弓削さんご自身はどんな方なのかなどについてご紹介します。まずは、バッグの創作販売に至るきっかけについてのお話からです。話は弓削さんが専業主婦として子育てをしていた頃に遡ります。
「私は専業主婦でした。子育てをしていた時に趣味で子供の洋服を作ったり、布製のバッグを作ったりしていました。ちょうどインターネット販売などが出始めた頃です。作ってみたら可愛かったので、私も売ってみようかなと思ってやってみたら売れたというのがきっかけです。主婦業や子育てをしながらぼちぼちやっていました。」ママ友付き合いしかない暮らしの中で、クリエイティブな作家さんと繋がりが嬉しくて楽しみながらやっていたという弓削さん。「始めは仕事になるなんて思ってなかったし、趣味みたいなものでした」と語ります。
さてここからは弓削珠緒さんの人生ストーリー に耳を傾けてみましょう。

最初の転機は人との出会いから

布製手作りバッグを時々ネット販売しては楽しんでいた弓削さんにも趣味の域から脱する一つの転機がやってきます。世の中は次第に働くスタイルに変化が見えてきた頃のことです。女性の仕事は企業に属するキャリアウーマンか専業主婦かなどと画一的なものから、個人で起業をするという自由な選択へと変わりつつありました。
ある時、弓削さんは人の紹介で着付け教室に通い始めます。先生は起業セミナーなどに幅広く関わっている人でした。この先生との出会いを境に弓削さんも起業を目指している人たちと知り合うことが多くなっていきます。これまでおつきあいのあった手作り作家さんたちはどちらかというとおとなしいタイプの人ばかり。それに比べて起業を目指す女性たちは闊達でセミナーなどにも積極的に参加するパワフルな人たちで驚きました。しかし、そのような方と触れ合ううちに、バッグ制作をビジネスとして成り立たせてみたいという思いを抱くようになります。

あなた趣味でやってるでしょう?

起業の勉強のために参加した様々なところでは、時に「あなた趣味でやってるでしょ」「心構えが全然だめよ」などとガツンと言われたこともありました。ビジネスとしてはそんなところからがスタートだったのです。それから弓削さんはFacebookを通じて様々な人や情報に触れたり、セミナーにも参加して学ぶ機会を持つようになっていきます。そのような最中、一部の方から「ハンドメイドだけどハンドメイドに見えないのがいいんじゃない?」という意見が上がりました。自らももっと手作りに見えない作品を作りたいという思いが強くなっていきます。たくさんの人に買ってもらうためにはどうすればいいかなども考えるようになっていきました。そうして弓削さんは本格的なバッグ製作スクールに入校し、1年間バッグ作りを基礎から学んだのです。

大きな決断となったミシンの購入

バッグスクールで革製品のバッグ作りもできるようになった弓削さんは、ある時、思い切った投資をします。製作用の大型ミシンを購入したのです。三、四十万するものだったのですが、お金はあってもいざ買おうとなると、なかなか勇気が出ません。しかし、思い切って購入に踏み切ります。弓削さんがバッグ製作をやっていくぞと肚を決めた瞬間だったとも言える出来事でした。ミシンが来たことがきっかけとなって仕入れをすることもできるようになっていきました。
時を同じくして、手作り布製のバッグを作っていた頃に置かせてもらっていたお店が期間的に百貨店に出店することになります。当時の百貨店では直売ではなく、このような販売展開が増えていました。そして、弓削さんのバッグも並びました。すると思いの他多くのお客様の手に渡り喜ばしい売れ行きとなったのです。その後、個人でも阪急うめだ百貨店バイヤーと取引きが始まり、次第に他の百貨店からも声がかかるようになっていきました。今から三年前のことでした。現在では九州から関東に至るまで、TamaoYugeブランドのバッグは百貨店で期間的な展開をして多くの女性に好評を得ています。

海外での生地選びは直感的に

TamaoYugeブランドのバッグの魅力は何と言ってもその美しさにあります。生地と革を組み合わせた時の美しさにこだわります。デザインはあえてシンプル、素材感の魅力を活かすのが強みです。元々海外に縁があった弓削さんは自らニューヨークやヨーロッパに出向いて一つ一つ気に入った生地を手にとって買い付けてきます。生地選びはインスピレーション、弓削さん生来のセンスが光るところ。ぱっと見ただけで「これだ」とすぐにわかると言います。弓削さんは昔から人と同じといったことは好みません。バブル世代なのですが、みんながお決まりのバッグにボディコンといったスタイルにも興味は持ちませんでした。独自のセンスはこの頃から磨かれていたのでしょう。

不器用な女子高生?!

弓削さんは最初から服飾のデザインをやっていたわけではありませんでした。学生時代は英語が好きだったという弓削さんは短大を卒業後、銀行に就職して四年勤めた後に1年間イギリスへの留学を経験します。翻訳の仕事を目指して勉強を積んだこともあったものの、それも長続きせず、その後結婚し完全専業主婦として二人の子供を育てながら家庭を守る暮らしに。子供のために何か作ってみようかなと思うまでは自分はデザインどころか手先は不器用な人間だと思いこんでいました。しかし、のちにそれは左利きだったからだと気づきます。
アメリカのプレッピーファッションが流行った高校時代にたった一度だけ見様見真似でリュックを作ったことがありました。紙で型紙をとって縫い合わせ、できたリュック。周りの人は弓削さんが手作りしたとは思ってもいません。それほど上手くできていたのです。そんなことを思い返す時、もしかすると、若い頃からアパレルの道を目指していたらまた違った人生が待っていたのかもしれないともふとよぎりますが、もちろんまったく後悔などではありません。

ドラえもんは出てこないのにバッグはイメージ通り!

そんな弓削さんは少女の頃から絵を描くことには憧れていました。ところが例えばドラえもんの絵を描こうしても、頭には完璧なドラえもんのイメージがあるのに、完成した絵はドラえもんとは似ても似つかぬもの。思った通りにはどうしても書けません。しかし、現在、不思議なことにバッグはデザイン画を起こさずに頭の中のイメージをそのまま形として表わすことができてしまいます。頭の中でぐーっと考えているとパーツはこれかな、ここは長く、ここは丸く、といったあんばいに細かなディテールまで作業がイメージできるのです。デザイン画に落とすのが一般的な作業行程なのですが、弓削さんの場合は絵に落とさなくてもイメージ通りのバッグが出来上がってきます。直感的に降りてくるタイプの作家だといっても過言ではないでしょう。

私がオバサンになったら♬ 2018年最初のワクワクはフィレンチェ滞在

今年2018年の2月にはイタリアのフィレンチェに2週間滞在し、革製品作り本場でのバッグ制作をさらに学んできます。
「子育てが終わっておばさんになったら海外へゆっくり行こう」
弓削さんはこの旅を決めたとき、子供を産んだばかりの二十代の頃、そう思っていたことをふと思い出しました。思ったことは叶うのだと思いました。時を経る中でいったんは忘れていたとしても。弓削さんは自分が海外を飛び回っていても仕事が回るような体制を作り上げていきたいと考えています。現在、大阪のアトリエに在中しているスタッフは2名。40代と50代の女性です。お2人共にここでのバッグ作りの仕事が好きだと言ってくれ、心から信頼し合う関係を築けています。「子育てを終えた世代の女性が、再び社会に出て自分が好きなことを仕事にしていけるような世の中になってほしい」弓削さんはそのような希望を持っています。自身も女性が活躍できる場をもっと多く提供できるように貢献したい、そのためにもビジネスを広げていこうという未来に見据えて今日も幸せになるバッグを作るデザイナー弓削さんはアトリエに足を運んでいるのです。

何かをやってみたいと思うあなたへ

弓削さんストーリーはいかがでしたか。同世代の女性ならどこか共感できる、親近感が持てる方だと思えたのではないでしょうか。弓削さんのワクワクエネルギーをぜひ受けとってくださいね。昨今は起業をしようとする女性も増えてきました。弓削さんのようになりたいという声も時々聞くそうです。そのような女性たちに何かひと言いただけますかと訊いてみたら次のような言葉が返ってきました。
「皆それぞれ、いま一番楽しめること、いまできることに集中するといいのではないでしょうか。起業しているから素敵だということではなく、それは本当に自分が好きなこと、楽しめればそれが子育てでもいい。すぐに突拍子もないことで起業しよう焦らず、冷静に考えて、それは自分が心から嬉しいことなのかどうか。起業ってとても現実的なことであり、私も表には出しませんが、時にしんどいことや眠れないほど考えることもあります。なんにせよ、自分の中でこれが一番嬉しいということをやってほしいです」
あなたがいまここで一番嬉しくて集中できることは何ですか。TamaoYugeブランドのバッグの輝きは弓削さんの人生の歓喜そのものなのでしょう。              (文責:安元敦子)